偏微分方程式-ラプラスの方程式-


偏微分方程式

偏微分方程式は、大学の教養課程の物理や化学に必ず出てくるものとしては、熱や物質の拡散方程式や量子力学の波動方程式であるSchrodinger方程式があります。これらの微分方程式には、いずれもラプラシアン

  \(\nabla ^2=\Delta = \frac{ \partial ^2 }{ \partial x ^2}+\frac{ \partial ^2 }{ \partial y^2}+\frac{ \partial ^2 }{ \partial z^2} \) を含んでおり、Laplaceの方程式と言われています。





ラプラシアン  \(\nabla ^2= \frac{ \partial ^2 }{ \partial x ^2}+\frac{ \partial ^2 }{ \partial y^2}+\frac{ \partial ^2 }{ \partial z^2}\)   は、\(O-xy\) 直交座標でのものだから、微分方程式を解くには、極座標や円筒座標などを使った方がやりやすくなります。そこで、ラプラシアンを極座標で表してみましょう。

ラプラシアンの空間極座標での表示

空間極座標\(O-xy\) 平面での 極座標を \((r,φ)\) とし、\(z\) 軸との偏角を \(θ\) とすると、

\(x=r\sinθ \cosφ\)
\(y=r\sinθ \sinφ\)
\(z=r\cosθ \)
\(r^2=x^2+y^2+z^2\)
\(\tanφ =y/x、\tanθ =±\sqrt{x^2+y^2}/z\))
ですから、
  \(\nabla ^2= \frac{ \partial ^2 }{ \partial x ^2}+\frac{ \partial ^2 }{ \partial y^2}+\frac{ \partial ^2 }{ \partial z^2}\)
=\(1/r^2・ \frac{ \partial }{ \partial r} (r^2 ・\frac{ \partial }{ \partial r} )+1/r^2\sinθ ・ \frac{ \partial }{ \partial θ}(\sinθ \frac{ \partial }{ \partial θ})+1/r^2\sin^2 θ ・ \frac{ \partial ^2 }{ \partial φ^2} \)

となります。基本的に合成関数の微分(偏微分)をすればよいことになります。

簡単なラプラスの方程式の解法

複雑なラプラスの方程式は、後日やるとして、ここでは簡単なラプラスの方程式を解いてみましょう。

  \(\nabla ^2u= \frac{ \partial u^2 }{ \partial x ^2}+\frac{ \partial u^2 }{ \partial y^2}+\frac{ \partial u^2 }{ \partial z^2}=0\)

これが一次元であれば簡単です。\(\frac{ d^2 u }{ dx^2 }=0\) から \(u=ax+b\) です。

二次元では、 \(\nabla ^2u= \frac{ \partial u^2 }{ \partial x ^2}+\frac{ \partial u^2 }{ \partial y^2} =0\)
ここで、\(u(x,y)=X(x)Y(y)\) することがこの形のラプラス方程式の一般的な解となります。このような方法を変数分離法と言います。

このときは、\(\frac{ \partial u^2 }{ \partial x ^2}=Y・ \frac{ d^2 X}{ dx^2 } \)   \(\frac{ \partial u^2 }{ \partial y^2}=X・ \frac{ d^2 Y}{ dy^2 } \)  だから 
\(1/X・ \frac{ d^2 X}{ dx^2 }+ 1/Y・ \frac{ d^2 Y}{ dy^2 } =0\)  となります。

ここで、\(\frac{ d^2 X}{ dx^2 } /X=k^2、 \frac{ d^2 Y}{ dy^2 } /Y=-k^2\) とおいても矛盾しません。
これらの2つの常微分方程式は、2階線形常微分方程式ですから、
前者は、\(X=c\exp (kx )\exp ( -kx )\)、後者は \(Y=c’\exp (iky)\exp (-iky)\) となり、

\(u=\exp ( ±k(x±iy))\) となります。

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