2次方程式の解法
2次方程式の解の公式
2次方程式の解の公式は、誰でも知っていると思います。\(ax^2+bx+c=0 a≠0\)の解は、\(x=(-b±\sqrt{b^2-4ac})/2a\)というものです。
通常平方完成をもちいて導きます。今では、中学3年生の数学で必ず学び、これを利用する問題が高校入試にも出題されます。ところが、ある時期、2次方程式の解の公式が中学の教科書から消えてしまったことがあるのです。それもある作家の強硬な意見で、そうなりました。
なぜ2次方程式の解の公式が消えたのか
ことは、やはり作家の曽野綾子という女流作家が、「私は、生まれてこのかた2次方程式を解かなくても生きてこれた。2次方程式などは社会に出て何の役に立たないから、このようなものは追放すべきだ。」と言うことを、夫でやはり作家である三浦朱門に言ったことがきっかけです。三浦は最近の2017年2月3日に亡くなっています。三浦は教育審議会会長であり、学習指導要領答申の責任者として多くの意見を言ったとされています。教育審議会で曽野の解の公式不要論を強硬に述べ、ついには解の公式は中学の教科書から消えてしまいました。また悪名高い「ゆとり教育」の推進者としても知られています。曽野も同様です。理系の何たるかもわからないたかが作家が、極めて重要な数学や理科の方向性を決めてしまったことに大きな憤りと失望を感じざるを得ません。ゆとり教育時代には、日本の理数の世界ランクが大きく下がった事が報道されています。
日本文学は明治以来の文学から現代文学までかなりの本も読みましたし、世界文学もよんできました。自分の人生に大きな影響を与えた作家も多くいます。残念ながら、三浦朱門の本も曽野綾子の本を読んだことはありません。しかしながら、三浦や曽野の本を読んでいなくても、全く困ったと思ったことはありません。つまるところ、自分の得手、不得手や好き、嫌いで物事を判断することは間違いで、世の中には、自分の知らないところで極めて役に立っていることが多くあることを認識すべきだと思います。
2次方程式の解の公式は、3次、4次、5次以上の解の公式の理論につながっており、その先には現代数学においても、また現在の技術にも多くの応用と影響を与えているガロア理論やガロア群の考えかたがあります。