場合の数と確率-解答編-
場合の数、確率の基本
確率や、期待値の問題は、場合の数を求める事からはじめます。全体の場合の数で起こりうる場合の数を割れば確率が求まります。集合論の加法定理や余事象もよく使いますから、演習を十分やっておきましょう。確率の問題の解答を書いておきます。
確率の問題の解答
【問題1】
1個のサイコロをn回投げる事象を考えます。n≧3の時に、1の目が少なくとも2回でて、かつ2の目が少なくとも1回でる確率を求めてください。(一橋大)
【解答1】
2の目がでない確率をp2とすると、\(p2=(5/6)^n\) 、1の目がでる回数が0か1である確率をp4とすると、\(p=(5/6)^n+n(1/6)(5/6)^{n-1}\) となります。1の目がでる確率が0か1で、2の目がでない確率をp5とすると、p5とすると、\(p5=(4/6)^n+n(1/6)(4/6)^{n-1}\) となります。従って、求める確率は、1-(p4+p2-p5)=\({6^n-(n+10)・4^{n-1}-(n+5)5^{n-1}-5^n}/6^n\) となります。
【問題2】
1からnまでの自然数を1つずつ書いたn枚のカードがあるとします。よく混ぜて1枚引いては戻すと言うことを2回おこない、1回目のカードの数と2回目のカードに書いてある数の差の絶対値を得点とする試行を考えます。
(1)この試行を1回行う時の期待値を求めてください。
(2)n=3とします。この試行を3回行う時、得点の合計が2である確率を求めてください。(広島大)
【解答2】
(1)1回目と2回目に引いたカードの数字を、それぞれx,yとすると、すべての(x,y)の組は、\(n^2\) 通りあります。
ⅰ) lx-yl=0のとき
x-y=0になる組は、(1,1)、(2,2)、・・・・・・(n,n) のn通りです。
ⅱ) lx-yl=k(k≠0)のとき
x-y=k(k≠0)の組は、(k+1,1),(k+2,2),・・・・・・・(n,n-k) の(n-k)通りあります。また、x-y=-k(k≠0)の組みも、(n-k)通りありますから、あわせて2(n-k)通りあることになります。
よって、ⅰ)ⅱ)より、得点がkとなる確率P(k)は、
P(0)=\(n/n^2\)
P(k)=\(2(n-k)/n^2\) (k=1,2,3・・・・・,n-1)
これより、求める期待値Eは、E=\(\displaystyle \sum_{ i = 0}^{ n-1 } kP(k)\)=\(\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ n } kP(k)\)=\(\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ n } k・2(n-k)/n^2\)=
\((n^2-1)/3n\) となります。
【問題3】
ゲームを次のように行うものとします。サイコロを1回に2個ふり、12の目がでたら、そこでゲームは終わり賞金を獲得するものとします。賞金を得る確率が1/2を越える確率とするには、2個のサイコロをふる回数を何回までとしたらいいでしょうか。その最小値はいくらですか。
【解答3】
この問題は、ド・メレが、パスカルに送った問題です。(1652年ごろ)もの質問に、パスカルは答えられませんでした。ホイエンスが正しい答えをだしています。
サイコロを2回ふる回数をn回とします。この問題は、12の目が1度もでない確率が、1/2以下にになる最小値nはいくらか、ということと同じです。
従って、\((35/36)^n\)<1/2 となる最小のnを求めればいいことになります。\((35/36)^24\)≒0.5086、\((35/36)^25\)≒0.4945 となりますから、求めるnは、25回です。