論証・命題について-問題の解答編-

命題について

数学的な命題では、その真偽が明確なものでなくてはなりません。命題が真である時のみ、必要条件、十分条件を考えることができます。ただし、論理は完全なものではなく、ゲーデルによって、不完全性原理が証明されています。命題の問題は、センター形式のものや、私立大医学部の入試問題にも結構出題されていますので、抜けの無いようにしておきましょう。

命題についての問題の解答

【問題1】

実数係数の2次式f(x)=\(x^2+ax+b\) について、f(1)、f(1+\(\sqrt{2}\))、f(\(\sqrt{3}\)) のいずれかは無理数であること示してください。(京大)

【解答1】

f(1)=l、f(1+\(\sqrt{2}\))=m, f(\(\sqrt{3}\))=n がすべて有理数とすると、a+b+1=l、(1+\(\sqrt{2}\))・a+b+3+2・\(\sqrt{2}\)=m, \(\sqrt{3}\)・a+b+3=nとなります。これよりm-l=a・\(\sqrt{2}\)+2+2・\(\sqrt{2}\) , n-l=(\(\sqrt{3}\)-1)a+2 となり、\(\sqrt{2}\)・(m-l)=2a+4+2・\(\sqrt{2}\)・・・・・① \((\sqrt{3}\)+1)(n-l)=2a+2・\(\sqrt{3}\)+2 ・・・・・・② です。①-②より、(l-n-2)+(m-l-2)\(\sqrt{2}\)+(l-n+2)\(\sqrt{3}\)=0 が導けます。・・・・・・③ ③より、l-n-2=0, m-l-2=0, l-n+2=0 となりますが、これを満たすl,m,n は存在しません。従って、f(1)、f(1+\(\sqrt{2}\))、f(\(\sqrt{3}\)) の少なくとも1つは無理数です。

【問題2】

nを1以上の整数とするとき、次の2つの命題は真偽を調べてください。真のときは、その証明を、偽のときはその理由を述べてください。

(1)命題p:あるnに対して、\(\sqrt{n}\) と\(\sqrt{n+1}\) はともに有理数である。

(2)命題q:すべてのnに対して、\(\sqrt{n+1}\)-\(\sqrt{n}\) は無理数である。(京大)

【解答2】

(1)自然数nに対して、\(\sqrt{n}\) が有理数だとすると、\(\sqrt{n}\)=\(\frac{u}{v}\)  (u,vは互いに素な自然数)とおけます。よって、n=\(u^2\)/\(v^2\) ・・・・・・・・① となります。nは自然数ですから,\(v^2\) は\(u^2\)の約数です。u,vが互いに素であれば、\(v^2\) も\(u^2\)も互いに素ですから、\(v^2\)=1となり、n=\(u^2\) から、\(\sqrt{n}\)=u となります。ここで、\(\sqrt{n}\),\(\sqrt{n+1}\)も有理数と仮定すれば、ともに自然数となり0<\(\sqrt{n+1}\)-\(\sqrt{n}\)=1/(\(\sqrt{n+1}\)+\(\sqrt{n}\))<1 となり、矛盾します。従ってこの命題は偽です。

(2)あるnに対して、\(\sqrt{n+1}\)-\(\sqrt{n}\) が有理数だとすると、\(\sqrt{n+1}\)+\(\sqrt{n}\) =1/(\(\sqrt{n+1}\)-\(\sqrt{n}\)) も有理数です。\(\sqrt{n}\)=\((\sqrt{n+1}\)+\(\sqrt{n})\)-((\(\sqrt{n+1}\)+\(\sqrt{n}\))/2, \(\sqrt{n+1}\)=(\(\sqrt{n+1}\)+\(\sqrt{n}\)+((\(\sqrt{n+1}\)+\(\sqrt{n}\)))/2 となりますから、\(\sqrt{n}\),\(\sqrt{n+1}\)はともに有理数となり命題pが偽であることに矛盾します。従って、すべてのnにたいして、\(\sqrt{n+1}\)-\(\sqrt{n}\) は無理数です。よって命題qは真となります。

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