複素平面の扱い方-解答編-

複素平面の扱い方

複素平面(ガウス平面)の考え方は、平面座標やベクトルの成分表示にも通じるものがあります。複素平面は割合苦手にしている人が多い項目ですが、複素平面では、平面上の点を、1つの複素数で表すことができるために、複素数を用いて、図形を表すことも出来ます。複素数を、実部と虚部にわけて、\(z=x+iy,(x,yは実数)\)と表すことも重要ですが、複素数\(z\)で考えることも重要です。このとき基本的なのは、複素数 \(z、\overline{z},\vert z \vert\)の使い方です。たとえば、\(z\)が実数であることは、\(z=\overline{z}\)ですし、\(\vert z \vert^2=z\overline{z}\)となります。また複素数の極形式も基本的です。ド・モアブルの定理も縦横に使いこなせるようにしておきましょう。問題は次です。複素平面の扱い方

複素平面の問題

【問題1】

自然数\(n\)と実数\(a,b\)に対し、実数\(x_n,y_n\)を、\(x_n+iy_n=(a+bi)^n\)で定めます。このとき、\(x_n・y_{n-1}-x_{n-1}・y_n\)の値を求めてください。(琉球大学)

【解答1】

\(a+bi=r(cosθ+isinθ)\)とします。ここで、\(r=\sqrt{a^2+b^2}\) \(cosθ=a/\sqrt{a^2+b^2},sinθ=b/\sqrt{a^2+b^2} (0≦θ<2π)\)
ド・モアブルの定理より、\(a+bi)^n=r^n(cosnθ+isinnθ)\)従って、\(x_n=r^ncosnθ,y_n=r^nsinnθ\)
よって、\(x_n・y_{n-1}-x_{n-1}・y_n=r^ncosnθ・r^{n-1}-r^{n-1}cos(n-1)θ・r^nsinnθ\)
=\(r^{2n-1}(sin(n-1)θ・cosnθ-cos(n-1)θ・sinnθ)\)
=\(r^{2n-1}sin(-θ)=-(a^2+b^2)^{n-1/2}・b/\sqrt{a^2+b^2}=-b(a^2+b^2)^{n-1}\)

(注)成分表示でも解けます。\(x_n+iy_n=(a+bi)^n\)の共役複素数を考え、両者をかけて実部、虚部の比較になります。

【問題2】

複素平面上の点 \(α_1、α_2,・・・・・・・,α_n,・・・・・・・・\)を、\(α_1=1,α_2=i,α_{n+2}=α_{n+1}+α_n (n=1,2,・・・・・・)\)で定めるものとし、
\(β_n=α_{n+1}/α_n\)とおきます。
(1)3点 \(β_1,β_2,β_3\)を通る円\(C\)の中心と半径を求めてください。
(2)全ての点\(β_n (n=1,2,・・・・・・・)\)は、円\(C\)の周上にあることを示してください。
(東京大学)

【解答2】

(1) \(β_1=i,β_2=1-i,β_3=(3+i)/2\)となります。
そこで、\((β_2-β3)/(β_1-β_3)=i\)となりますから、\(Arg((β_2-β_3)/(β_1-β_3)=Argi=π/2\)
よって、\(C\)は、\(β_1,β_2\)を直径とする円ですから、中心は、\(1/2\)半径は\(\sqrt{5}/2\)

(注)成分表示してもできますが、計算が面倒になります。

(2) 数学的帰納法で示してみましょう。

条件式より、\(α_n≠0 (n≧3)\)
よって、\(α_{n+2}=α_{n+1}+α_n\)から、
\(α_{n+2}/a_{n+1}=1+a_n/a_{n+1}\)ですから、\(β_{n+1}=1+1/β_n\)・・・・・・①がなりたちます。

Ⅰ)(1)より\(β_1\)は、円\(C\)上にあるから、\(\vert β_1-1/2 \vert=\sqrt{5}/2\)が成り立ちます。
Ⅱ)n=kのとき、\(\vert β_k-1/2 \vert=\sqrt{5}/2\)が成り立つと仮定します。
n=k+1のとき、①より \(β_k=1/(β_{k+1}-1)\)から、
\(\vert 1/(β_{k+1}-1)-1/2 \vert=\sqrt{5}/2\)が成り立ちます。
\(\vert (3-β_{k+1})/2(β_{k+1}-1) \vert=\sqrt{5}/2\)
この両辺を2乗して整理すると、
\(\vert β_{k+1}-1/2\vert=\sqrt{5}/2\)から、\(β_{k+1}\)も円\(C\)上にあります。

よって、Ⅰ、Ⅱより、全ての\(n\)で\(β_n\)は円\(C\)上にあります。

【問題3】

\(O\)を原点とする複素平面で、\(6\)を表す点を\(A\)、\(7+7i\)を表す点を、\(B\)とします。ここで、\(i\)は虚数単位です。
正の実数\(t\)に対し、複素数 \(14(t-3)/((1-i)t-7)\)をあらわす点を、\(P\)とします。

(1)\(∠ABC\)をもとめてください。
(2)線分\(OP\)の長さが最大になる\(t\)を求めてください。

(東京大学)

【解答3】

(1) \(A,B,P\)を表す複素数を、\(α,β、γ\)とします。\(α=6,β=7+7i,γ=(14(t-3)/((1-i)t-7\)
\((β-γ)/(α-γ)=1+i=1/\sqrt{2}(cosπ/4+isinπ/4\) より\(∠APB=π/4\)
(2) \(OP^2=γ・\overline γ=2^27^2(t-3)^2/((t-7)^2+t^2)=f(t)\)
\(f'(t)=-2^37^2(t-3)(t-28)/((t-7)^2+t^2)^2)\) より、\(t>0\)で増減をしらべると、
\(t=28\)で最大となります。

(注) ほとんど計算のみの問題です。

 

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